肥満は乳癌のリスクファクター??
昔から、乳癌のリスクファクターに肥満が指摘されていましたが、どういう仕組みで乳癌になるかはまだ明確にわかっていません。わかっているのは、閉経後の肥満の女性では大量の脂肪組織が、かなり高レベルでエストロゲンと成長因子であるレプチンという物質を分泌して、これが腫瘍の成長促進の原因に結びつき乳癌の発症リスクを上げているということです。
ちなみにレプチンというのは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、脂肪の貯蔵量をコントロールしているといわれています。体にある程度脂肪がたまると、脂肪細胞がレプチンを出します。レプチンが血中を流れていって脳にある視床下部というところに作用すると、そこでは食欲を抑えるように信号を出すことになります。
こういう仕組みがきちんと働いていれば肥満にならずにすむのですが・・
過食などでエネルギーが多量に摂取されるとレプチンが大量に出ても脳が反応しなくなるそうです。そうすると、押さえがきかなくなって満腹感が得られず、また食べる・・・そうして肥満が進みます。
女性を女性らしく保ってくれる女性ホルモン・・・エストロゲン・・・脂肪組織からも分泌されることは意外に知られていないかもしれません。エストロゲンの原料がコレステロールであるというのも意外に知られていないかも・・・
さらに男性もエストロゲンが分泌されているとはまたまた意外かもしれませんね。男性はテストステロン(男性ホルモン)を原料に作られているのです。思春期の頃、男性でもおっぱいが大きくなって痛い!などというのは、実はテストステロンがいっぱい出ることで、エストロゲンも作られてしまうからなのです・・・ だからこそ、体の中には適量あってほしいものです。最近になって多々のタンパク質ホルモンが、乳癌の大きさの増大や縮小に関連しているなどの報告があり、それらの関係は今後だんだん解明されていくことと思います。今後の研究に期待したいですね。
年齢とともに次第にやせにくくなったと自覚している人は多いはず・・・閉経をむかえると尚その傾向は強くなっていきます。幸せ太り・・・などという言葉がありますが、高血圧や脂質異常症(高脂血症)をはじめとする生活習慣病や乳癌のリスクと関連しているのであれば、体重の急増を放っておくわけにもいかないようです。
健康な体重を維持してゆくこと・・・様々な病気の予防の観点からは非常に大切です。